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【HOJO代表 北城彰】

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茯磚茶を発売しました。茯磚茶は茯茶とも言われ、モンゴルを初めとする中国北西部の遊牧民が重要なビタミンやミネラル源として日々飲んでいるお茶です。

プーアル茶とは異なる黒茶の発酵

茯磚茶は黒茶と呼ばれ、微生物による発酵の力を借りて作られる後発酵茶です。微生物による発酵茶というと、プーアル熟茶が有名ですが、茯磚茶の発酵工程には一点大きな違いがあります。 プーアル熟茶は散茶の状態で発酵させるのに対し、茯磚茶の場合はブロック状に緊圧した状態で発酵を行います。発酵に携わる微生物が異なり、その結果、茯磚茶特有の香りと味を形成します。 200gのブロック

茯磚茶の香りと味

茯磚茶の香りはカビの発酵に依存するところがおおきく、木質の独特な香りがします。例えるなら、梅干しの種、干し草、木、ハーブ、チーズ、生のキノコ、例えばポルチーニのような香りです。これだけ読むと、不思議な香りに感じられるかもしれませんが、実際にお客さんに出すと非常に受けが良く、多くの人に好まれる類の香りです。私の店でもリピートが非常に多いお茶でもあります。(チーズを食べたこと無い人に、チーズの香りを説明するのが難しいのと同じく、茯磚茶の香りは非常に独特で、表現が難しい香りです。) 味わいですが、肥料を抑えた茶園産ゆえに、余韻が意外に長く、しっかりとしたコクがあり、独特の香りと相まってとても飲みごたえのあるお茶です。

熟成により乾燥フルーツ系の香りへと変化する茯磚茶

茯磚茶はプーアル茶と同じく熟成することで香りが変化します。茯磚茶の熟成速度はプーアル茶よりも速く、長く保存するほどに、茶葉の色合いや水色が濃くなり、同時に乾燥フルーツ系の香りが強く、口の中で感じられる密度の濃い甘味が強まります。中国では数年保存された茯磚茶は新茶よりも高い値段で取引されます。私の経験上熟成は無酸素で行った方が理想的な香りが形成されますが、開封した状態で保存しても、それなりに許容できる範囲で熟成が進みます。

脂肪を燃焼する機能性が注目される茯磚茶

茯磚茶は脂肪を減らす効果が注目されており、中国の研究者を中心に数多くの研究が行われております。 Zhou et al. BMC Complementary and Alternative Medicine 2014, 14:263によると、茯磚茶を与えたネズミは肝脂肪と中性脂肪が顕著に減少しており、茯磚茶の摂取量がふえると更にその効果が増すという結果が出ております肖文军 et al. 茶 叶 科 学 2007,27(3):211~214においても、ネズミと人の両方で実験を行っております。論文によると、茯磚茶の摂取量が増えるにしたがって、コレステロールと中性脂肪が減少し、同時に善玉コレステロール(HDL-C)が増加することが確認されております。研究結果が余りに期待通りで美しいので、やや懐疑的な目で見てしまいますが、ともあれ脂肪が気になる私達にとって、非常に興味深い研究結果ではないでしょうか? 以下の表1はネズミ、表3は人による茯磚茶を飲んだときの体内のコレステロール(TC)、中性脂肪(TG)、善玉コレステロール(HDL-C)を調べた数値です。表1ではDose(茯磚茶の摂取量)が増えることで、コレステロール値と中性脂肪が減り、善玉コレステロールが増加しております。表3は人に基づいた実験ですが、飲む前(Before Drinking)と飲んだ後(After Drinking)ではネズミの実験と同じ傾向が観察されております。

モンゴル人にとって生活に欠かせない茯磚茶

茯磚茶は中国で作られておりますが、主にモンゴル地方、チベットやウイグル自治区などで飲まれるお茶です。これらの地域は砂漠や寒帯など、厳しい環境ゆえに植生が限られ、住民達は肉、乳製品、パンを中心に生活しているために、自然と野菜が不足しがちです。この為、彼らにとっての茯磚茶は、ミネラルやビタミンを補足する意味を持っており、お茶と言うよりも生活に欠かせない栄養源となっております。尚、モンゴルなどではバターなどと一緒に飲まれたりもします。

茯磚茶の歴史

中国と中国の北西部のモンゴル、チベット、ウイグル民族とのお茶の貿易の歴史は長く、唐の時代には既にお茶が貿易されておりました。中国からはお茶が輸出され、代わりに、モンゴルなどからは馬を仕入れておりました。このようなお茶と馬の貿易を茶馬相互市と呼び、宋の時代より政府に専門の貿易部門が設立され、お茶は官茶、府茶と呼ばれ、貿易は国策として行われてきました。当時モンゴル地方などに輸出されていたお茶は緑茶の一種でした。これは今で言う黒毛茶に相当します。お茶はタイトに包装され、輸送はロバや馬に積載されて数ヶ月かけて輸送されました。旅の途中でお茶は風雨や高温にさらされることで、意図せずに微生物発酵が起こったと言われております。ただ、意外にも発酵によって生じた香りは人々に好意的に受け入れられたことから、その後、明の時代1300年代くらいから微生物発酵を意図的に行う現在の茯磚茶の製法が陜西省にて開発されたと言われております。茯磚茶、及びそれに準ずるスタイルのお茶は、その後、陜西省だけでなく、湖南省、更には四川省などでも作られるようになりました。

茯磚茶の作り方

茯磚茶の具体的な生産方法は2つの段階に分かれます。

黒毛茶の生産

黒毛茶というと何だか難しいイメージがしますが、簡単に言うと、黒茶生産用の毛茶、つまり、粗茶のことです。粗茶とは未だ仕上げを行ってない状態のお茶を指す言葉です。
  1. 1芯3-5葉の茶葉が用いられる。
  2. 釜炒りによる殺青
  3. 揉捻(お茶を揉む工程)
  4. 堆積(12-24時間)
  5. 再揉捻
  6. ベイキング
黒毛茶を生産する際の堆積は各種書籍では発酵と説明されていることが多いですが、殺青の後の堆積であることから本来発酵に携わる酵素は残存しておらず、また、堆積時間が12-24時間と短いことから微生物による発酵は考えられません。堆積工程はどちらかというと、黄茶の悶黄工程と似ており、湿った状態で長時間おくことで、成分の穏やかな酸化を促し口当たりをマイルドにする働きがあると考えられます。プーアル生茶の生産時にも揉捻後のお茶は12時間ほど堆積します。この工程ゆえにプーアル茶は緑茶のような鮮烈な香りがなくなり、代わりに、マイルドな口当たりへと変化します。 ベイキングは黒毛茶生産特有の工程というわけではなく、鳳凰山での水仙緑茶、六堡茶を初め、中国における緑茶の作り方のひとつの方法と言えます。

発花

黒毛茶は四角や正方形に緊圧され、高湿度の環境下にて保存されます。この工程では茶葉や環境由来のカビの増殖を促します。上手に発酵が行われた場合、金花と呼ばれる金色の点々が茶葉内部に観察されます。 金花はEurotium Cristatumという麹カビが作り出す胞子であり、茯磚茶を語る上で欠かせません。金花が多いほどに生産工程が上手に行われたと考慮されます。ただ、金花自体に香りや味があると言うことではなく、金花があることで、カビが増殖し、2次代謝が行われていることを示唆しております。ただし、金花が多いほど品質が良いと言うことではありません。お茶の品質はあくまで使用される茶葉の質(茶摘みの時期、標高、茶摘み規準、栽培方法など)で決まります。金花は発酵が上手に制御されたかどうかの指標です。

黄色の点々が「金花」と呼ばれる麹カビの胞子

グレードによって値段が大きく異なる茯磚茶

茯磚茶には様々なグレードが存在します。一般的に緊圧したブロックのサイズが大きくなるほどグレードが低くなります。グレードが低くなるとはつまり、春ではなくて夏場に摘まれたお茶が使用されます。また、お茶の茶摘み規準もグレードによって異なります。低いグレードになると、夏場に大きく伸びた茶葉が原料として用いられるため、渋味が強く、また粗野な味がします。湖南省産でも陜西省産でもグレードが最も高いお茶は200gのブロックになります。HOJOでは最も品質が良いとされる200gのブロックを仕入れております。このお茶は春茶の1芯3-5葉くらいが用いられます。このグレードの下になると357gや400g、更に、1kgや2kgのブロックは汎用のお茶になります。実際、200gの茯磚茶はモンゴルで消費されることは殆どなく、その多くが国内外のお茶マニアによって求められます。

上の写真の左は400gのブロック、右は200gブロックです。茎部分を初め、左の方が全体に大ざっぱなのが判別できます。200gブロックに用いられる春のお茶の場合、茶葉が全体に小さく、また、含まれる成分も濃厚であるために濃い色合いをしております。1kgや2kgのブロックになると、夏に摘まれた更に大きな茶葉が原料として用いられます。

農薬基準を満たしたお茶を選定

HOJOでは最も品質が高いとされる200gのブロックを仕入れておりますが、更に、日本の農薬基準をクリアー出来る茶園産の物を選定し仕入れております。SGSにて360種類の農薬を検査し、日本の農薬基準を満たしていることを確認の上仕入を行っております。 HOJOでは過去10年間茯磚茶をマレーシアで販売しており、これまでは湖南産のお茶を仕入れておりました。ただ、近年湖南産の茯磚茶の品質及び値段が安定しないために、現在は、品質、値段、農薬の数値を確認しつつ、陜西省と湖南省の両生産者とお付き合いをしております。現在、販売している商品は陜西省産の2015年産です。
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美味しい飲み方

このお茶は多少、丁寧に淹れてあげることがポイントです

使用する水


身近な水と言うことで、水道水をお薦めいたします。水道水を使用される場合は、消毒用の塩素を取り除くため3~5分沸騰させてください。但し、例え沸騰しても塩素を完全に除去することは出来ません。可能な限り、活性炭フィルター付きの浄水器を用い、水中の塩素を除去してください。そうしないと、お茶の香り成分と塩素が共に反応し合い、本来の香りが楽しめません。また、塩素は微生物を殺菌するためにいれられております。殺すのは健康に害のある微生物だけでなく、私達の腸にすむ善玉菌も同様に殺菌してしまいます。また、細胞レベルでも様々な害が報告されており、アレルギーの原因にも成り得ます。

蒸留水や逆浸透膜水の場合、ミネラルを全く含まないために、お茶の味がフラットになりがちです。出来るだけ水道水等、ミネラル水をご使用ください。

尚、ヤカンに付着した水垢(スケール)は決して除去しないでください。クエン酸洗浄などを行うことで、従来のお茶の味が得られなくなってしまいます。


一端使用される水の種類を決められたら、今後、水の種類を変えないように同じ種類の水を使用し続けてください。水の種類が変わった場合、スケールに含まれるミネラルとの相互作用で、お茶の味が劇的にまずくなります。同じ水を使用し続けることが、お茶を美味しくいれるための秘訣です。

茶葉の量


50mlに対し1gの茶葉をご使用ください。

つまり、急須の容量が200mlの場合、200ml ÷50 =4gの茶葉が必要です。

 

茶器の温度を上げる

 

沸騰している湯を急須に入れてください。
そのまま、10秒間静置してください。これにより、茶器が暖まります。

茶葉の温度を上げる

折角茶器を温めても、即お茶をいれた場合、茶葉により湯の温度が下がってしまいます。「茶葉ごときでそんな?」と思われるかもしれませんが、茶葉は表面積が非常に大きいため、熱交換率が高く、私達の実験では20℃温度が低下します。 そこで、再び沸騰水を茶葉に注いでください。注ぐときは、出来るだけ低い位置から素早く注ぎ入れます。チョロチョロとのんびり注いだ場合、その過程で温度が下がってしまいます。高い位置から注ぐと、同じく、温度が下がります。湯を注いだら、10秒ほど湯につけ、そして素早く、湯を注ぎだしてください。このときにノンビリとしていると、折角のお茶の味が失われてしまいます。

更に、この動作をもう一度5秒間繰り返してください。つまり、茶葉は合計で2度湯通しします。

蒸らす時間

1煎目:10秒〜20秒

2煎目以降:湯を通すだけ

もし味が濃すぎた場合、迷わず、湯を足すことで薄めてみてください。苦みが感じられるのは「濃い」こと示しております。苦くなくなるまで思い切って薄めてください。

 

2煎目以降は湯を通すだけで、蒸らす必要がありません。この方法だと、8-10煎目位までお茶がいれられ、大変経済的です。

いれるときの大切なポイントとして、1煎目は「ちょっと薄すぎたかな?」と言う程度とどめてください。1煎目からお茶をしっかりと出してしまった場合、2煎目以降は非常に濃くなります。

簡単ないれかた

簡単ないれかたは300ml〜200mlの茶器を一度沸騰水で10秒間予熱した後、茶葉をいれ3分間蒸らすだけです。味については、上の方法が優れておりますが、そこまで真剣さを求めない場面では、この方法が簡便です。

茶葉の保存方法

常温にて保管されることをお薦めいたします。直射日光を避け保存してください。開封後はしっかりシールをしてがお茶が外気に触れないように努めてください。熟成をされる場合、理想としては未開封の状態で保存してください。個包装をする際に、酸素を除去しております。無酸素の条件ではお茶は理想的な熟成をします。